これは「転職しました」っていうキラキラ話じゃない。
削れていく中堅の記録。撤退のあとに残った“閉塞感”の正体を書いておく。
目次
- 撤退。努力は、きれいに消えた
- 技術よりも「いくら?」が勝つ世界
- 汎用品という便利な言い訳
- 「またこれか」と思った瞬間
- 38歳、微妙すぎるポジション
- 市場価値という、見たくない現実
- このまま10年後の自分を想像してみた
- 腐る前に、動いた
- 転職は挑戦じゃない。ただの生存戦略
1. 撤退。努力は、きれいに消えた
ある化学メーカーにいた。
子会社に出向して、衛生材料向けの樹脂をさわって仕事をする毎日だった。
開発もやった。生産技術もやった。品質の仕事もやった。
現場も理論も、そこそこ分かっているつもりだった。
でも最後は、製品撤退。
会議室で上長と1対1で淡々と告げられる「採算が合わないので終了です」。
ああ、終わるんだ。
努力って、こんなにあっさり消えるんだ。
単純に失望した。
2. 技術よりも「いくら?」が勝つ世界
正直に言えば、技術で負けたとは思っていない。
新規開発もロット安定性も、ちゃんとやった。
不良率も抑えた。
でも市場が見ているのはそこじゃない。
「で、いくら?」
それだけ。
安いほうが勝つ。品質が“ある程度十分なら”それでいい。
積み上げ型の努力が、値下げ一発で吹き飛ぶ世界。
心が削れる。
3. 汎用品という便利な言い訳
「これは汎用品だから」
便利な言葉だ。
利益が出ないのも、価格競争になるのも、撤退するのも、全部この言葉で説明できる。
でもな。
やってる人間のキャリアまで汎用化しなくてよくないか?
代替可能。交換可能。誰でもいい。
その感じが、一番きつかった。
4. 「またこれか」と思った瞬間
撤退後、任されるテーマは見えていた。
でも、どこか冷めていた。
どうせまた価格で叩かれる。
どうせまた採算の話になる。
どの世界でも汎用化すると価格競争になる。
経験上新しいテーマも汎用化が進んでるテーマだから、容易に未来が読めてしまう。
これが一番危ない。
“諦めながら働く”状態。
5. 38歳、微妙すぎるポジション
若手じゃない。でもベテランでもない。
守られる側でもないし、逃げ切れる世代でもない。
一番怖かったのは、
「このまま年齢だけ重ねること」。
気づいたら“価格競争に疲れた中堅技術者”が完成している未来。
それ、笑えない。
6. 市場価値という、見たくない現実
会社は回っている。
でも、自分は伸びているか?
外に出たら通用するのか?
品質もやった。開発もやった。生産技術もやった。
でもそれは、「社内で便利な人」なだけじゃないか?
市場価値って言葉、嫌いだった。
でも、無視できなかった。
7. このまま10年後の自分を想像してみた
10年後、48歳。
同じように価格で削られて、同じように採算を気にして、
同じように「仕方ない」と言っている自分。
その姿が、妙にリアルだった。
ぞっとした。
どうせ子会社だから潰れても本社に戻れる、って気持ちはあんまり好きになれなかった。
8. 腐る前に、動いた
転職はキラキラした挑戦じゃない。
ただ、「このままはヤバい」と思っただけ。
逃げでもない。攻めでもない。
腐敗回避。それだけだ。
9. 転職は挑戦じゃない。ただの生存戦略
あとから言えば、これはキャリア戦略とか言えるのかもしれない。
でも当時は違う。
焦り。不安。プライド。全部ぐちゃぐちゃのまま、動いた。
でも一つだけはっきりしている。
あのとき動かなかったら、今の自分はもっと自信をなくしていた。
転職は挑戦じゃない。
生き延びるための選択だった。